【日経新聞】「特定地域づくり事業推進法」。マルチワーカーの働き方

2020年に「特定地域づくり事業推進法」が施行された。コロナ禍をきっかけに地方暮らしを希望する人が増えたが、地方での新しい働き方を求める人と、過疎で人材不足に悩む地域をつなげるのがこの制度だ。収入面の問題も解決され、移住しやすくなった。都会から地方で働くことを願う人にとってメリットの大きい制度ではなかろうか。

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最大の壁である「仕事」の問題を解決

働き方改革の上に、コロナの影響でリモートを使う人が増え、会社に行く必要がないなら高い家賃の都会に住む必要がないので、家賃の低い地方への移住を考える人が増えたという。とはいえ、特別なスキルがあったり、ある程度会社の規模があったりして就業の形が整わないと難しいことかもしれない。

地方に移住を希望する人の最大の課題が仕事だ。どういう職種があって、収入面は安定しているのかなど、地元の情報はわかりにくい。その辺りの問題をクリアしたのが「特定地域づくり事業推進法」だ。これまでは地方にある農業や林業、観光業などの仕事は別々に存在していたが、忙しい季節に応じてそれぞれ3ヶ月ずつ程度働いてもらい、通年の仕事を作るという「マルチワーカー」という働き方を提案しているところが新しい。複数の業務を組み合わせることで安定した就業を生み、安定した収入を得ることができるようになり、グッと移住がしやすくなるという仕組みだ。

全国で88市町村で導入予定

島根県隠岐諸島にある海士町では、海士町複業協同組合を設立し、移住希望者を職員として採用。年明け1月からはイカなどの定置網漁、4月からは岩ガキなどの水産物加工、その後は観光業へと派遣する。地域の特色のある仕事を組み合わせて通年の仕事を提供している。

人口2200人の海士町は、人口の減少が止まらず、過疎地域は人手不足が深刻な問題になっている。仕事はあったとしても、どれも通年で雇用することはできず、これまでは就業希望者を受け入れることができなかった。今回の制度が実施されたことによって、雇用は通年あり、収入も安定するということで、関東と関西から20歳代の男女5人を採用することになったとのこと。今年度はさらに4人を採用する予定だ。このように新たな働き手を招くこの制度を全国88市町村が導入予定しているそうだ。

「新しい土地で」新しい働き方

もともと地方は「半農半○」とういう副業を持つことは珍しくなかった。それをうまく取り入れたのが今回の新制度だ。収入面の心配さえ取り除くことができれば、応募する人はどんどん増えるだろう。自然と触れ合えることも嬉しいし、毎月の生活費も都会生活よりぐんと下がって魅力はたっぷりだ。過疎地域にとっても永年の人手不足問題が解決するわけで、どちらにとってもありがたいマッチングだ。今の生活拠点を離れて働きたいという人は多い。特に都会生活をやめたいニーズは多い。「新しい土地」ではじまる新しい働き方、今後も増えていくだろう。

まとめ

働き方の多様化、生き方の多様化が進んでいる。生活のために無理して会社員勤めをするより、自分らしく生きていきたいと願う人は多い。地方へ移住し自然の中で穏やかに生きていきたいと願う人も多い。会社から独立し起業することも新たな生き方だが、ちゃんと生活できるだけの収入が約束されているのなら、求められるところに住まいを移し、心身ともにリラックスして生活していくのも、これも新たな生き方なのではないだろうか。

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